前回の記事(体調悪化し入院した話)の続きです。
体調悪化で入院しました。家族性地中海熱は単体では薬で抑え込めていますが,虫垂炎と一緒になって悪さをしていたことがわかりました。
退院時,医者から言われたことがあります。
これが表題の通り,獣医になるのはおすすめできないということでした。
「獣医は汚いでしょ?」ということでした。
汚いというのは微生物汚染が多いか少ないかの話であって,獣医療や畜産業を卑下する意味ではありません。この医者のセリフだけを切り抜けばそういう悪い意味になるかもしれませんが,この記事でこれから説明するようなことを私が知っている前提での会話ですから,悪い意味は一切ないと私が保証します。
今回,弱い虫垂炎から発熱,倦怠感が出たように,今後も大したことない病気が家族性地中海熱のせいで重症化することがあり得るということです。
以前の記事でお話しした通り,新型コロナのワクチン2回接種済みにも関わらず,感染した時,10日も熱が続き,後遺症もあって社会復帰まで1ヶ月かかりました。
これも同じ仕組みで,新型コロナ感染によって起こった炎症が家族性地中海熱で増強され,体にダメージを与えるだけでなく,免疫の足を引っ張って治癒を遅らせてしまっていたということでした。
獣医というのは,動物を扱うため人が持っていない菌やウイルス,アレルゲンに晒される環境での仕事です。
特に,臨床獣医であれば毎日病気の動物と接します。
これは大学の先生に聞いた話ですが,獣医という職業は医師を含めたすべての職業の中で,一番多種多様な病原体への抗体を持っている職業だと言われているそうです。
このように,獣医は日々感染リスクにある環境にある仕事です。
例えば,犬や猫など動物に噛まれた時,普通の人でも腫れることがあると思います。
これは動物の口の中にいる細菌などが傷口から侵入して,それに免疫が反応して炎症が起こっている状態です。
家族性地中海熱は,炎症を制御する機能が遺伝的におかしいことが原因で,炎症が過剰に起こる病気です。
つまり,普通の人は動物に噛まれても,腫れる程度で済むところを,私の場合は,腫れるだけでは済まずに熱まで出して寝込む可能性があるということでした。
動物の口の中の細菌だけでなく他にも多くの動物から人に感染する病原体があります。
また,動物がたくさんいる環境という時点で,糞尿や餌の残ったものなどが微生物の棲家になっているので,人の生活する環境より”汚い”のは紛れもない事実です。
極端に例えると,豚舎や鶏舎などの動物飼育場とあなたの自宅のどちらが”きれい”かという程度の,一般的な当たり前の事実のことです。
動物から人に感染する感染症はたくさんあります。
一般論として,獣医という仕事はこのような感染のリスクが高い仕事と言えます。
健常者なら感染しても大したことはない病原体でも,私の場合は重い症状が出る可能性が高いわけです。
このような”弱い”身体でリスクのある仕事をするのは向いていないという理屈でした。
ただ,医者は私の事情を知っているので,”獣医を辞めろ”とか”獣医をするなら死ぬ”などとは言いませんでした。
あくまで”健康でいたいならやるべきではない”という言い方でした。
この記事では,まるで重症のように書いてきましたが,免疫不全ではないので,”普通”にしていれば大きく生活の質が落ちることはないそうです。
ただ,ほんの少し感染リスクに気を遣ってさえいれば,健常者と同等の生活になる可能性が高いそうです。
獣医という仕事,立場が”感染リスクに気を遣う”の真逆だったのがいけないのです。
私がすでに大学に3年という多大なコストを費やしていたばかりに,引くに引けず,袋小路に入っている状況でした。
この問題への私の答えは次の記事(この病気でも大学(獣医)に通えるのか)に書きます。
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